福井県下小学校児童および中学校生徒を対象とした第58回福井県小中学校図画作文コンクール

審査総評

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  • 作文審査総評

図画審査総評

第58回図画の部審査会
 58回目を迎えた伝統ある本コンクールに、今年も県内の学校から7,500点を超える応募がありました。出品してくれた児童・生徒の皆さんや、指導された先生方の熱心な取組みに、心から感謝いたします。
見応えのある作品が多く、作品に込められた思いを想像しながら、一点一点慎重にそして楽しく審査しました。
ここに、審査員の意見を取りまとめ、感想を述べます。
○小学校低学年
 低学年の作品では、子供たちが実際に体験して強く心に残ったことが、生き生きと伸びやかに描かれていました。特に入賞した作品は、その時の楽しかった気持ちや驚きなどが伝わってくるものばかりでした。堂々と樹の幹をのぼっていくカブトムシや、水しぶきの音や冷たさまで伝わってくる滝の様子。それらとともに、カブトムシを応援したり、滝の近くで遊んだりする子供たちの姿が明るくはつらつと描かれていて好感が持てました。クレヨンの線の力強さが際立った作品が印象的でした。
○小学校中学年
 中学年になると、学習体験の幅がぐんと広がっていくためか、描かれる出来事や場所も多岐にわたるようになりました。水彩絵の具で描いた作品が多くなり、入賞した作品は、子供たちが生み出した豊かな色彩で描かれており、大変美しく感じました。梨の木の葉の緑や、発掘活動をしている山土の茶色など、水の量や混ぜる色を少しずつ変えて描いていました。貼り絵やサインペンとの併用をおこなっている作品もあり、題材テーマの提示の仕方とともに子供たちの表現の幅を広げるため、先生方が指導を工夫されていることを実感しました。
○小学校高学年
 高学年の作品からは、丁寧さとち密さを感じました。四つ切サイズの作品を描き切るにはエネルギーが必要です。入賞作品からは、思いを継続させてじっくりと取り組んだ様子がうかがえました。独自の視点で、身近な景色や出来事を描いた作品が多く、これまでに習得した表現技能を自分の思いに合わせ、遺憾なく発揮している作品もあり、すばらしいと感じました。
○中学校
 中学生の作品は、力作揃いでした。風景画や自画像が多かったですが、自分のもてる力を精一杯発揮し、表現を追求した作品、肩の力を抜いて描くことを楽しんでいる作品など多様で、主題のとらえ方も様々でした。 形や色が吟味されており、審査を忘れて見入ってしまう作品ばかりで、生徒の皆さんが絵に対して真摯に取り組んでいる姿までもがうかがえ、非常に嬉しい思いでいっぱいになりました。
おわりに
 図画工作や美術で大切にしたいことは、「描き方」「作り方」そのものというより、「独自の見方」「感じ方」です。想像力を働かせながら、どの表現方法がよいか思考・判断し、創意工夫しながら表現することが重要です。子供たちが、表現の引き出しを多様にもち、伝えたい主題によってより良い表現を選び出せるように、私たち教員は授業を構想していかなければなりません。今後も御指導のほどよろしくお願いいたします。
最後になりましたが、子供たちの生き生きとした造形活動を温かく見守っていただいている御家族の方々、そして長年にわたって本コンクールを主催し、福井県の図画工作・美術教育の向上に御尽力くださっている福井放送株式会社の方々に、心より御礼申し上げ、総評といたします。
福井県教育庁義務教育課 指導主事 吉田 千春

作文審査総評

第58回作文の部審査会
はじめに
 第五十八回福井県小中学校図画作文コンクールには、四百九十四点の応募がありました。
 みなさんの作品を、審査員の先生方とともに、一つ一つ丁寧に読ませていただきました。そして、金・銀・銅と佳作の各賞を決定しました。審査に当たり、どのような点を評価したのかを講評します。
一 小学校の作品について
 小学生の応募作品は、学校行事や家族との出来事を通して感じたことや思ったことの綴られた作品が数多くありました。特に、受賞作品には、自分の思いとそれを支える理由や事例との関係が明確に書き表されていました。
 小学校一年生の金賞作品の作者は、自分の豊かな体験を題材として選び、よく思い出して書いています。まず題名に引きつけられます。「だいこんのせいじんしき」って、何だろう?と読み進めると、作者とおじいちゃんの生き生きした会話で、謎が解けます。大きく育った大根を収穫する日の様子が、目に浮かぶように書けていました。「小さい小さいごまみたいなたね」「はっぱをもりもりつけた大きい大きいだいこん」「スポーンととび出て」「はっぱのみち」というような表現も素敵です。
 小学校二年生の金賞作品は、マラソン大会の新記録を目指して、友だちとともにがんばる姿が生き生きと描かれています。風の強い日や暑い日のつらい練習にも、大会当日のつらいコーナーでも、自分の家族や友だちの家族のはげましと応援のおかげでがんばりぬいた、素直な気持ちが手に取るように表現されています。温かい家族に育まれ、仲間とともにまっすぐに成長していく作者に、読み手からもエールを送りたくなるような作品です。
 小学校三年生の金賞作品は、突然訪れた大好きなおじいちゃんとの別れの時を、時間の経過に沿って細かく描写する中に、三年生らしい気持ちの動きも素直に表現されているすばらしい作品です。朝早くの電話の音、病室での処置の様子、母親からかけられた言葉など情景の描写にも緊迫感があり、それに伴い揺れ動いていく心情も読み手に生き生きと伝わる言葉で表現されています。おじいちゃんの死を受け入れたくない気持ちの中にも、思い出を胸にがんばっていこうとする結びからは、作者が温かい家庭に包まれている姿も感じられる作品です。
 小学校四年生の金賞作品は、これまで同居していた大好きなおばあちゃんが、将来の介護のことを考えて、福岡で暮らすことになったことによる、作者の寂しさから始まります。その後、おばあちゃんがいなくなってからの生活の様子とその時々の気持ちが臨場感あふれた表現で描かれていきます。おばあちゃんへの感謝の思いや大切な人として思っている気持ちが素直に描かれた、四年生らしい作品です。
 小学校六年生の金賞作品は、連合音楽会に向けて「世界に一つだけの歌」に仕上げるため、「教えてもらう歌」から「自分たちでつくる歌」を目指して、主体的にさまざまな努力を積み重ねた日々が目に浮かぶ作品です。千二百字という短い字数制限の中ですが、言葉を選び、簡潔でありながら作者ならではの的確な言葉で表現されていて、合唱にかける六年生の強い思いや、「大大大成功」を収めた達成感がしっかりと伝わってくる作品です。
二 中学校の作品について
 中学校の応募作品は、学校行事や部活動を通して感じたことや考えたことの綴られた作品が数多くありました。どの受賞作品も、伝えたいことが分かりやすく伝わるように、文章の構成や展開を工夫して書き表されていました。
 中学校一年生の金賞作品からは、作者の心の動きが、見事な構成と表現の工夫で生き生きと伝わってきます。成功イメージの明るい書き出しとは裏腹の不本意な現実。苦い思いで繰り返す自問自答。その姿を書き綴る短い文の連続。そして、ある時ふと気づいた、仲間がいたからこそがんばれた楽しさと幸せ。「転んでもまた起き上がる三組魂」が思い出となってきらり輝くすばらしい作品です。
 中学校二年生の金賞作品は、中学生らしい心の動きが素直に表現された好感の持てる作品です。両親からの思いを感じてはいるが、ついそっけない態度をとってしまう作者。しかし、ソフトボールの試合での両親の応援で改めて両親の愛情を実感します。そのことが、作品の中間部分の「ありがとう」のリフレーンから伝わってきます。最後に書かれた「ありがとう」も効果的で、それを伝えられた両親の笑顔が思い浮かぶようです。
三 作文を書く上で気をつけてほしいこと
 作文を書くときは、相手や目的を意識することが大切になります。例えば、「家族が自分の思いを理解するために」など、誰に向かって、何のために書くのかをはっきりと自覚した上で、自分の伝えたいことを明らかにするようにしましょう。そして、伝えたいことを明らかにするために、家庭・地域・学校などの日常生活の中から、できるだけたくさんの材料を集め、それらの共通点や相違点に着目しながら一番書きたいことを決めましょう。
 また、伝えたいことの中心を明確にし、文章の構成を考えることも大切です。伝えたいことの中心を明確にするとは、文章の構成を考えるに当たり、伝えようしている内容の中から、中心に述べたいことを一つに絞ることです。そうすることで、中心となる内容や、それに関わる他の内容が明らかになります。それらの内容の関係を踏まえ、段落を作るようにしましょう。
 さらに、一度書き上げたものを読み直すこと、つまり、推敲することも大切です。よりよい段落構成や表現に直すことに努めてください。すっきり、はっきりしていて、一読してよく分かる文章を目指しましょう。先生や家族の方々に指導や助言をもらい、自分自身の力で推敲するようにしましょう。
 最後に、表記について気をつけてほしいことを挙げておきます。
 一 縦書きなので、算用数字ではなく、漢数字を使用すること
 二 正しい接続詞・接続助詞や書き言葉を使用すること
  (「なので、ですが、けど、じゃ」などは使わない。)
 三 正しい原稿用紙の使い方をすること
  (読点・句点をつける場所、会話文の書き方、や……の書き方に気をつける。)
 作文を書く際には、国語辞典、類語辞典、国語便覧などを手元に置き、自分の思いに合う言葉を見つけて、どんどん使ってみましょう。
四 おわりに
 文章を書くことは大変ですが、楽しいことでもあります。苦心して書き上げた文章を見ると、何とも言えない達成感が生まれるはずです。みなさんが取り組まれた、素敵な作品の一つ一つを読んでいると、その思いがさらに強くなります。また、文章を書くことで、言葉を用いて明快に表現したり伝達したりする力が高まります。そのような力は、みなさんの人生を豊かなものへと導いてくれます。
 児童・生徒のみなさんには、ぜひ、これからも積極的に作文という形で「書く」ことに挑戦してみてほしいと思います。また、先生方や保護者の皆様には、子どもたちの書く活動が充実するよう、適切な指導・支援をしていただきたいと思います。さまざまな機会に、多くの言葉を紡いだ素敵な作品に出会えることを、私たちは楽しみにしています。
福井県教育庁義務教育課 指導主事 吉田 昌央