私には、近所に住んでいる祖父母がいます。二人ともとても仲が良く、よく二人で旅行にも行ったりしています。祖父母は、私のあこがれの夫婦です。
ですが、最近、祖父がおこりっぽくなったり、祖母が作る料理の味が変になってきたりと、認知症のような症状が目立ち始めたのです。祖父も祖母もまだ七十代です。でも、祖父は、「もし、自分の体が動かなくなったり正常な判断ができなくなったときに、庭の植物の管理が大変だから。」と言って、私のたくさんの思い出が詰まった大好きな庭の竹林や木をほとんど切ってしまいました。とてもショックでした。祖父母は、物忘れも少しあります。その日の朝に祖父母に学校に迎えに来てほしいとお願いしたことがありました。でも、夕方には忘れてしまって来てくれなかったことがありました。祖母は、急に話していることとは別の話題のことを話し始めたり、一つ前に話していたことも話し始めたり、同じことを何度も話したりすることがあります。私は、「認知症なのかな?」と不安になることが増えました。
去年までは、あまりこのような症状もなく元気でした。でも、今年に入ってからは少しずつ症状がひどくなってきた気がします。どんどんひどくなって、私や家族、親戚のことを忘れてしまうのではないかと考えると怖いしさみしいです。
そこで、私は、何も分からない自分にもできることはないか考えました。そして、何気ない会話や日常を祖父や祖母は忘れてしまっても、私は忘れないようにしたいと思いました。小さな話題でもいいから、なるべくたくさん話すようにすること、なるべくたくさんの時間をいっしょに過ごすことを心がけるようにしています。他にも、私は、歌を歌うのが得意です。だから、いっしょに歌を歌ったり、祖父母の家で宿題をする時には、分からないところを父や母ではなく祖父や祖母に教えてもらうようにしています。例えば、私の家と祖父母の家が近所なので、ペットの散歩中に祖父母の家に寄って話したり、手伝いをしたりしています。私が歌を歌ってあげることもたまにあります。でも、なるべくいっしょに歌うようにしています。頭の体操もかねて、昔の歌や今の歌もいっしょに覚えて歌います。祖父は見ていることが多いです。でも、私と祖母が歌っているのを楽しそうに聞いています。いつも、自然とみんなが笑顔になります。
もしかしたら、これから、今よりも物忘れがひどくなったり、自分でできないことの方が多くなったり、様々な場面で失敗してしまうことが多くなるかもしれません。でも、怒らず、いつも優しく笑顔で接したいと思います。祖父母は、何回同じことを言っても初めて言っていると思っているそうです。だから、「何回も同じこと言わないでよ。」と怒ってしまうと、怒られた本人は悲しくなったり私達のことを怖い人だと思ってしまうかもしれません。怒られたことがストレスになって今よりも認知症がひどくなるかもしれません。私たちも、疲れていたり、気持ちに余裕がない時だからこそ、心を落ち着かせ、笑顔で優しく接してあげることが必要なのだと、私は考えます。
これから、祖父母が私達のことを忘れてしまうかもしれないのは不安です。でも、私は、私のことが分からなくなってしまっても、たくさん話をすること、私にできることなら何でもすること、疲れているとき、気持ちに余裕がない時でも笑顔で優しく、明るく接して、大好きな祖父と祖母に最後の最後まで幸せに、仲のいい私のあこがれの夫婦でいてほしいと思います。