「もういやだ。やめたい。できることなら休みたい
。」そんないやな考えが私の心に、募っていった。その時、母に言われたある言葉を思い出した。「相手にかたなくてもいいから、自分にかてるように頑張れ。」という言葉だ。
私が学校行事の中で一番苦手なのは、マラソン大会である。ぜんそくの持病もあり、運動も苦手なので、とても苦しい時間だ。毎年、マラソン大会の日が近づいてくると、とても憂うつになる。練習するのでさえも、いやでたまらなかった。その理由の一つとして、速く走れる子がうらやましかったというのもある。
大会の数日前、母から「相手にかたなくてもいいから、自分にかてるように頑張れ。」と言われた。そのような考えもあるとわかって、とてもびっくりした。
いよいよマラソン大会が近づいてきた時、私はこの言葉を思いうかべながら、頑張って走ろうと思った。
走っている時、苦しくて何度も、何度もくじけそうになった。しかし、母から言われた言葉を心の中でくり返し続け、なんとか走りきることができた。
結果は自分の望んだ順位にはなることができなかった。けれども、私の心の中は、スッキリとした晴れやかな気持ちになった。
私は、マラソン大会を通して、自分にかつということの意味が初めて分かった。今までは、相手にかつことした考えられていなかったが、自分にかつことが何よりも大切だと気づいたのだ。
また、大会での経験を活かしていきたいと思った。
大会の後、母に「克己」という言葉を教わった。相手にかつのではなく、自分の心にかつという意味だ。
私は、この言葉の意味に強くひかれた。
マラソン大会では、自分の心にかつことができたと思う。弱気になって、くじけそうになっても、最後まで走りきることができたからだ。
他の行事や、学校生活などでも「克己」という言葉を、常に心の中においておきたいと強く思った。
中学校へあがっても、苦しいことや、辛いことがたくさんあるだろう。
しかし、マラソン大会で自分にかつことができた経験を活かし、自分の心には負けないようにしたい。
また、相手ではなく、自分の心にかち、これからの自信へとつなげていけるように頑張りたいと思った。
マラソン大会で学ぶことができた、己に克つことの大切さを意識しながら、これからも行動していきたい。
「克己」これを、これからの座右の銘にしたい。