私の将来の夢は、薬剤師になることです。薬剤師になりたい理由は二つあります。
一つ目の理由は、私の家と薬局がつながっているということです。そして、そこで私の祖母とおばが薬剤師として働いていることです。
小さな頃から、私にとって薬剤師は身近な職業でした。学校から帰って来て、玄関に鍵がかかっている時は、薬局を通って家に入っていました。その時、いつも祖母は患者さんと笑顔で話していました。そして患者さんは、安心した表情で帰って行くのです。その笑顔に私は心を動かされました。薬剤師の力というのは、どんなに素晴らしいものなのだろうと考えずにはいられませんでした。たくさんの患者さんがいる中で、一人一人に真剣に向き合うその姿は、私の「あこがれ」になりました。
私が病気で寝込むと、祖母は心配して経口補水液を持ってきてくれたり、時々顔を出して様子を見に来てくれたりします。自分のことの様に心配してくれたので、安心することが出来ました。薬剤師は、体のことで困った時は何でも相談出来る、みんなのお母さんの様な存在だなと思いました。そして、私もこのような人を助ける仕事がしたいと思うようになりました。
二つ目の理由は、昨年私が手術をするために入院したことです。
「これは、手術をした方がいいね。」
そう言われた瞬間の動揺は、今でも忘れられません。手術という言葉がとても怖くて恐ろしいものに思えました。まさか私が手術なんて、と頭が真っ白になりました。不安と恐怖に押し潰されそうでした。
そして、入院中にお世話になったのが、看護師さん達でした。入院中、毎日、何度か体温や血圧などを測りに来てくれます。その時明るい声で、優しくて落ち着いた笑顔で話しかけてくれました。時々たわいのない話をして下さり、緊張していた体が徐々にほぐれていき、まるで自分の家に居るかのように過ごせました。手術の日、朝から付き添ってくれた看護師さんは、とっても心強い存在でした。
「私がついてるから安心してね。大丈夫。」
この言葉は、これ以上ないくらい私を恐怖から救ってくれました。それからもずっと私は励ます言葉をかけてもらい、落ち着いて手術に向かうことが出来ました。この人達がいなかったら、手術はきっと嫌で仕方がなかったと思います。
もし、私が看護師という立場だとしたら、きっとこんなにも患者さんを安心させることは出来ないでしょう。看護師さんには、何人もの患者さんと向き合い、たくさんの苦労と時間をかけて作られた信頼があるからだと思います。このような看護師さんに会えて、改めて人を助ける仕事に就きたいと思いました。
以前祖母から、この薬局は体だけでなく、患者さんの心も治す薬局だ、ということを教わりました。確かにいつも薬以外の事も話していました。この薬局は、患者さんの話を聴いたり、世間話をしたりして、患者さんの気持ちを軽くしてあげる場所でもあるのだと思います。
患者さんの心まで治し、笑顔で帰っていただく、そんな薬剤師になりたいです。この薬局には、都会にある薬局のように毎日たくさんの方は来ません。ですが、その分一人一人に向けられる時間と愛情は負けません。私はそんな薬局で薬剤師として働くために、勉強だけでなく、患者さんとのコミュニケーションの取り方を祖母やおばから学びたいです。そして、薬剤師になったら、今まで自分が救われてきたように、今度は私が多くの人にとって心強い存在になりたいです。