本と私が初めて出会ったのは、小学三年生のころだ。そのころは本がどういうものなのかよく分からなかった。本は自分が暇なときに時間をたくさん使う道具だとしか思っていなかった。でも、本以外に自分の好きなものが見当たらず、本を読むことは自分の趣味になった。本と出会っていなかったら、今も自分の好きなことは見つけられなかったと思う。
私は自分を使うため、楽しむため、学ぶためなどに本があるのではなく、勇気をもらうため、希望をもらうためなどの何かをもらってこれからの未来に役立てられるようにあるのだと考えた。過去の私にとっての本は学習に役立つ、ためになる、時間を使うなど、自分の目標を達成するための道具としか思っていなかった。しかし、今の私にとっての本は落ちこんだ時、悲しい時、つらい時に元気をもらえる、パワーがみなぎる大切な物だと思っている。
本は、変幻自在だ。何にでもなれる。例えば、一つ目は勉強や学習に役立つ本。何が興味があることや知りたいことを調べることができる。二つ目は架空の存在しない物語の本。ハラハラドキドキする冒険などを読んでいくたびに、想像力を広げることができる。三つ目は将来の夢を見つけられる本。将来の夢がなかったとしても、これからの未来にとても役立つ。
本がこの世になかったら…と考えるだけで怖くなる。本がこの世になかったら、何か興味があることを調べたり学んだりすることもできない。将来の夢やあこがれの人を見つけることができない、気軽に楽しめることが減ってしまう、学習に活かすことがなくなる、現実とかけはなれた未知の世界を見ることができないなどの不安がたくさんある。本がこの世に今あるからこそ、本に救われる人々がたくさんいると思う。
本は、楽しみや元気を与えるだけではない。勇気と希望を与えるものでもある。実際、私も勇気と希望をたくさんもらった。自分が意見を発表したり、発言したりするときはなかなか勇気が出せなくて、発表することなどはさけるようにしていた。でも、冒険をする物語の本から、主人公が勇気を出した場面を読んで、自分もこの主人公のように勇気を出してがんばろうと思った。この出来事だけではなく、本から勇気をもらった出来事は山のようにたくさんある。
本は勇気と希望を与えてくれるが、人ではなく物だとしか思っていなかった。けれど、私を支えてくれる存在だった。落ちこんだときはやさしく励ましてくれる友達のように思えてきた。本は物だが、人のような存在でもあるのだと分かった。本は勇気と希望を与える、想像力や読む力も身につけてくれる、未来や将来を考える、生きていく上でとても大切な「物」だ。けれど、私は大切な「人」だと思う。
私も本から勇気や希望、未来に役立つことを与えられたたくさんの人々の中の一人。私は本と出会ってから今に至るまで、本のおかげで心が成長した。本と出会わなければ、ちがう人生、ちがう未来になっていたのかもしれない。本を読み続けてもう五年も経つ。五年間、たくさんの勇気と希望をもらった。これからは、勇気と希望を与えられている人ではなく、本のように勇気と希望を与える側の人になりたい。